# 064

» うう、寒すぎます。ところで、今日は豚肉のトマト煮を作りました。なぜ僕はトマト煮を作ったのか?それには、単にトマト缶詰が安かったという以上の深い洞察と論理の帰結があるのです。まあ、聞いてください。

» まず、決定的な命題は、外食で出るご飯はマズいということです。ある程度の客を相手にする飲食店の場合、その全ての好みに合わせるためには、どうしても味を平均化しなくてはならないからです。そして値段。立地条件のせいで不当につりあげられた料理の請求書を前にすると、絶望的に吝嗇な僕は青冷めて、食べるものも喉を通らなくなってしまうのです。よって、こういうことが言えると思います。本当においしいものを安く食べたいのなら、自分で作るしかない、と。

» 自炊することの利点は、一番旬の食材を食べることができる点にもあります。一番旬な食材を見つけるのは簡単で、要は普段より安く売られているものを買えばよいのです。ちなみに、今一番旬なのは岡山産のマッシュルーム(はらたけ)でしょう。形はこぶりですが、一パック百円で、生で食べても独特のコクがあっておいしいです。

» そして利点のもう一つは、味付けを好きなようにできるところです。ここが一番肝心なところです。僕はとうとう見つけてしまいました。なにかを食べて元気になれるとしたら、人はなにを口にすべきでしょう?コーヒー、ステーキ肉、とうがらし粉、たまご、ユンケル液、聖ジョン草・・・。それらではありません。もっと根源的で、僕たちの肉体と有機的に混じり合った、必要不可欠な生命のエッセンス。そう、それは塩です。

» スティーブン・キングは工場勤務時代に毎日ナトリウムカプセルを飲んでいたといいます。しあわせの理由の主人公は塩分中毒でした。肉体労働に塩分補給が欠かせないの当然なのかもしれませんが、それを差し引いても、生産性と塩分摂取にはなんらかの関わりがあるのではないでしょうか。そんなことを考えていたら、僕はいつしか料理に塩を大量をふりかけて食べるようになりました。大量の塩に合う食材、それは何かというとトマトです。したがって僕はトマト缶やトマトピューレ、生トマトを買い漁ります。煮立ててパスタソースにすることもあります。味付けは震えるほど塩っ辛く。僕は長生きできないかもしれません。