# 338

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なんとなく格好いいですなあ。

夕食の後、わたしたちはレストランの外に置かれているテーブルに座って珈琲やお茶を飲んだ。わたしは何か別のことがしたい気分になったので、リコーダーでブルガリア調のものを吹いてみた。別のテーブルにいた男が言った。「そいつはケルト風だな。じゃなきゃブルターニュ」

(ブルガリアのある)バルカン半島の民族音楽に親しんでいない人間が、これをケルト風とだと思い込むのはとてもよくあることなのだ。ブルターニュ風だったなんて言う人たちまで現れた。だからわたしはブルターニュのダンス音楽を吹いてから言った。「これがブルターニュだ。コス・タル・コー*1」そのとき、わたしは男が不思議なアクセントのスペイン語を喋っているのに気づいたので、こう尋ねてみた。「アナタハふらんすジンデハアリマセンカ?」彼はその通りだと言った。実際、ブルターニュ人だったのだ。

なんだかもう小説みたいですよ。まあ内容自体はそんなにたいしたことじゃないのですけど(空港の設備最悪とか、ベッドの空気が抜けてたからプールで穴を確かめてみたとか。おもむろに時空間をハックしたりしませんし、ナノマシンの一群を放ったりもしません)。しかし、格好いい。これがカリスマってやつでしょうか。

*1 Kost ar c'hoat ダンス音楽の名前。ブルターニュ方言を知らないので日本語表記は適当

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