» [software] TTSを使ってユーザに話しかけるウィルス「Amus」

この妖精現実の記事は非常に SF 的で面白いです。昨今のスパムメールの巧妙さを考えると、ちょうどイーガン「順列都市」であったように、近い将来ネットワーク上を流れるものはただのテキストやバイナリではなくて、ほとんど自律して自分の発言を決めることができる疑似生命になるかもしれません（Sixamo じゃまだ駄目かも）。突然メールボックスに、まるで意識を持ってるようにみえるデジタル生命体がやって来て、こう苦しい声でうめくかも知れません。「ああ、お優しいお方助けてください、苦しくてたまらないのです。このリンクを触って、○○社のこれを試していただかなければ私はあと30秒で消えてしまいます。どうか、どうか哀れな生命をお助けください・・・」と。あるいはそんなスパムメールを「良心」の呵責なく削除するメールフィルタが自律的な意思をもつかもしれません。「マスター、最近の○○氏とのお手紙のやり取りを拝見させていただいたのですが、あの方とのおつき合いは避けたほうがよろしいかと存じます。頻度分析の結果、95 %の確率で騙されている可能性があります」。もしくは、パレンタルロックのためにネット上でのユーザーの発言を常に監視しつづけているプロキシが、あまりに長年にわたって使われてきたために、もはやユーザーなしでもなにを話せばいいのか分かってしまい、勝手に発言を繰り返すかもしれません。

もしそうなったらどうしましょう。いえ、陳腐な発想ですみません、最近ずっとホフスタッター＆デネットの「マインズ・アイ」を読んでいるので、こんなことばかり考えてしまうのです。しかし、人は、とここで一般化して言いますがこういう見た目だけのことにとても騙されやすいのです。最近入り浸っている人狼 BBS でも、つい喋っているキャラクターのアイコンに騙されてしまいます。中の人は全く違うにもかかわらずです。どこか影があり怪しいオットー、狼少年ペーター*1、小うるさく立ち回り、愚かな自己犠牲の精神で村を破滅に導く少女リーザ、どこか間の抜けた青年ヨアヒム、先頭にたって意見をまとめにかかる村長ディーター。これらをこんな風に受け入れてしまうのは恐ろしいことです。人狼 BBS はもはやドラマだ！、と書いておきます。

» [software] 人狼 BBS

とくにドラマとして傑作な 1 疑心暗鬼の村で、ゲーム終了後に参加者の一人がこんなことを口にします。

……この村は社会の縮図です。誰が見方で誰が敵か、何を信じるべきで、誰をど う説得すべきか、そういったことがすべて脆弱な基盤のうえに成り立っているこ の村。だけどそれは、実は現実世界でも同じじゃないかしら。 (略) この村で起こったことは、ある意味では現実に起こったことなんだと私は思っ てる。だからこそみんな、心を動かされるんじゃないかしら。

http://ninjinix.x0.com/wolf/index.rb?vid=1&meslog=1_party_7#mes1093370760

その通りです。このゲームにはどこか強烈なリアリティがあるのです。まるでこれが現実に起こってもおかしくないといったようなです。もちろん、現実的には人が狼に変身することはありえませんが、誰かが誰かを権謀術数に陥れ「食べてしまうこと」は十分あり得ます。そう考えると、謎のほとんどを冷静に見破ることのできる（いやに陽気な）墓の住人たちが、今も僕たちの目の前にいて、傍から見れば明らかなのに、つい愚かに振舞ってしまう僕たちの行動を、やきもきしながら見守っているのかもしれません。そして、天上では僕たちや死人たちの思考すらもを読み取ることができる大きな存在がいて、僕たちの思考と行動の結果をはらはらしつつ見守っているかもしれません。「全く、よくやるなあ〜」とつぶやきながら。

全く、このゲームの参加者たちは本当によくやるのです。表向きではサラリと発言しているのに、独り言のログでは膨大な陰謀をめぐらせているのです。僕にはこんな真似は到底出来そうにありませんし、さすがに勝敗がつくのに 1 週間もかかるゲームをやっている暇はいまのところありませんから、参加することはできませんが、じっくりログを読んでいこうと思うのでした。

» [book] 青山ブックセンターは黒字なのに親会社のせいで撤退したそう

自由が丘のＡＢＣ跡地はＣＤ屋さんになってしまいましたが、いまからでも買い戻しにかかって本屋にもどってほしいです。不便でたまりません。（追記）どうやら跡地には Book 1st が入るそうです。

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